「酒の一口や二口で酔って寝るなんて、どうなってんだこいつはァ。でかい図体して情けねぇ」
父が、屋台で突っ伏して眠ってしまった玄弥を指差しながら、実弥を見た。そんな責めるような目をされても困る。
恐らく鬼喰いの影響だろう。そもそも、玄弥が何かを口にするのを見たのも、初めてだった。
「鬼喰いだからか?」
一瞬の間があいた。心の声を聞かれたのかと思った。伊黒がそう言ったから「鬼喰い」の言葉が出てきたのか?
しかし続いた言葉で確信した。なぜか分からないが、父はもともと鬼喰いがどういうものか、知っている。

父は、玄弥の背中を見下ろした。玄弥のことは一貫して罵倒していたが、その時とは少し違う目をしていた。
「なぁ。一体どういう心境になったら、鬼を喰おうなんて思えるんだ?」
「知らねぇよ」
背景は、本人からも聞いて薄々分かっている。鬼狩りとしての才能がなかった玄弥が、何とか実弥に追いつくためにとった手段だと。
しかしなぜ、鬼を喰おうなどと思ったのか、そこの思考の飛躍が実弥にも分からなかった。
鬼を喰えばその力を手に入れられると、なぜか知っていたということか? 知っていたとしても、それを普通、実行するか? 鬼はもともと、人間だというのに。
もし兄弟の立場が逆だったとしたら、自分ならどちらも否だ、と実弥は思った。
才能がないという時点で、自分に見切りをつけて他の手段を探しただろうと思う。でも玄弥は踏み込んだ。
そこのところの理由を、実弥は聞いていない。聞いたとしても、玄弥はうまく説明できないだろう、という気がした。

父は、既に10杯を越えているだろうが軽く杯を開けて続けた。
「先日言った通りだ。こいつは異常者なんだよ」
にらみ付けたつもりはなかったが、父は肩をすくめた。
「おーおー、怖ぇ怖ぇ。お前にとっちゃ、鬼を喰おうが可愛い弟には変わりねぇか。まあ、お前もまともな体質じゃねぇしな。もう治ってんだな、俺がつけた傷」
左頬を指で弾かれた。
「母親……ひのとも同じだった。どんな怪我をさせても、骨折させてさえ、次の日には働いてやがる。ろくに食わねぇでも、寝ねぇでも平気な顔してやがる」
「お袋はいつも痛みを堪えて働いてた、そんなことも分かんなかったのか。てめぇがごく潰しだから、どれほど苦労したか」
反射的に拳に力がこもった。ぶん殴ってやりたい、という衝動を抑える。自分も、こんなことでは玄弥と変わらない。
父は実弥の怒りを受け流すように胸をそらして続けた。
「それにしてもだぜ。お前、おかしいと一度も思わなかったのか。お前らの……不死川の血は、普通じゃねぇ」
軽い口ぶりだったが、何か含むところのある言い方だった。実弥に言わせれば、一番普通じゃないのはこの父親のほうだ。
それにしても、最後の言葉が引っかかった。
「不死川はあんたの姓だろ」
「違う。ひのとの姓だ」
「そうなのか」
今にして知る、意外な事実だった。父の姓だと疑うことなく思い込んでいた。父は意外そうな顔をした。
「そうなのかってお前、ひのとが玄弥を里帰りで出産したとき、一緒についてったろ。数ヶ月は不死川本家にいたはずだ。覚えてねぇのか」
「……」
実弥は黙り込んだ。事実なら5歳くらいの時の話だろうが、覚えていない。しかし言われてみれば、そんなことがあったような気もする。
何か思い出しそうになった時、
「忘れてるならいい」
と遮られた。その鋭い口調に思わず父を見やったとき、肩に長い腕が回された。咄嗟に振りほどこうとしたが、思ったより力が強い。耳元で父の声がした。
「実弥。これだけは忠告しておくぜ。不死川本家には二度と近づくな。もし向こうから来ても、ひのとの息子だと明かすな。追求されてもシラを切れ」
「理由もわからねぇのに頷けるか」
「理由?」
父は声を荒げた。
「あのなぁ。そのそもあの家で産まれなかったら、玄弥も――」
そこで唐突に言葉を切った。まるで監視している誰かに、背中をじっと見られていることに気づいた、そんな表情だった。
あからさまな恐怖。実弥は、父の表情にその感情を初めて見た。

―― お前。おかしいと一度も思わなかったのか。
父の先ほどの言葉を思い返した途端、ゾクリとした。
母は、痛みを堪えながらも歩いていた。でもその前の晩に、父に足の骨を折られていなかったか。我慢する程度ではどうにもならなかったはずだ。
なぜだ。なぜ母はあの時に――
あの母の元に生まれ、弟は鬼を喰い、俺は鬼の力を引き出した。
なぜだ?

父のささやきが、勝手に耳に入ってくる。
「俺は、知り合いに刺されて数ヶ月寝てた。それから一度家に戻ったんだよ。そしたら、大家から1ヶ月前に家族に起きたことを聞かされた。
ひのとが、鬼になって家族を襲ったんだって? よく、お前らは生き延びたもんだ。それを聞いて俺は思ったんだが――」
言うな言うな。実弥の心を知ってか知らずか、父は続けた。
「あいつはもともと―― 人間の姿をして生きてた、鬼だったんじゃないかって。俺はずっと、ひのとが、不死川の血を引くお前たちが、おそろしかった」
「くだらねぇ」
吐き捨てた声がかすれているのを、他人事のように聞いた。
鬼となった母に襲われた記憶は、今でも俺を苦しめる。
あの刹那で母はもう戻らないと諦め、弟の命だけは救うと決めた判断は間違っていないと信じているが、それでもだ。

「てめえの勝手な思い込みで、俺たちへの暴力は日に日にひどくなったってことか? 被害者のつもりかよ」
父は黙っていた。骨が飛ぶんじゃないかと思うくらいに殴られ蹴られたことを、なかったことにはできない。
ただ、今なら分かる。あの時父の目に浮かんでいたのは怒りというより、理解できない何者かに対する畏れだったと。

―― お袋。就也。弘。こと。貞子。すみ。
俺たちをあれほど苦しめた男が、今目の前に居る。今なら殴り返すことも、何なら殺すことだって出来る。
どうしたい? 復讐したいか? 心の中で聞いてみる。
でも記憶の中の家族はにこにこと笑っているばかりだ。
膨れ上がった怒りは、静かに心の中で崩れていった。

実弥は、たった一人だけ残った弟の、正体のない背中を見下ろしながら口を開いた。
「……あの後、死んだ家族の遺体はいったん近くに埋めた。鬼殺隊に入ってから、兄貴分の仲間と一緒に掘り起こして、この藤の里に墓を建てた」
隣で父が立ち上がった気配を感じた。ここで別れたら、もう二度と会わないだろうと思ったが、顔を見る気にはなれなかった。
「なぁ。ひのとは。鬼になった後、死んだんだな」
感情のない言葉だった。
「ああ」
だから、感情を見せずに頷いた。
「どうして死んだ」
「殺した」
「……は?」
「お袋は俺が殺した」
その瞬間、隣に居た父から、憤怒の感情が噴出したのが分かった。
それほど違和感を覚え、畏れていた女房の死に、怒るのか。
実弥には男女の機微など興味がないが、どれほど殴り殴られても、なぜ二人が離別を選ばなかったのか、分かった気がした。
それなら、殴られてもしかたない。そう思った。

父はしばらく無言だったが、やがて言った。
「お前が殺したんなら、しかたがねえな」
実弥は思わず父を見た。感情をそぎ落とした、能面のような顔だった。父も実弥を見返した。自分はどんな顔をしていたかと思う。
沈黙が二人の間を流れ、父は無言のまま、その場から立ち去った。



父が去ってからしばらく、実弥はその場から動かずに居た。
トン、と音がして我に返ると、店主が温かい茶が入った湯呑を目の前に置いたところだった。
「うう……ん?」
隣で玄弥が呻き、椅子から転げ落ちそうになったのを咄嗟に支えて、自分の身体が強張っていることに気づいた。
「おい。起きろ玄弥。いつまで寝てんだ」
「気持ち悪ぃ……」
「なら始めから飲むんじゃねえ」
今の会話を玄弥に聞かせなくて良かった、と思う。
茶を一息に飲み干すと、屋台の机に金を置いて、礼を言ってその場を後にした。

実弥は玄弥に肩を貸し、夜道を歩いていた。もう夜空には星が光っている。
結局、鬼は現れなかった。やはり気のせいだったのか、自分は思ったより、疲れているのかもしれなかった。
玄弥はほとんど意識を手放して実弥に引きずられていたが、風邸の門の前で目を開けた。
「あいつは……?」
「どこかに行った。もう会うこともねぇだろ」
「できるだけ、遠くへ行ってくれることを願うぜ……」
「そうだな」
「そうだ。誕生日おめでとう、兄貴」
唐突にそう言われて、気づけばふっ、と笑っていた。玄弥はそんな自分を見返して少し驚いた顔をしたが、すぐに笑い返してきた。
「そのそもあの家で産まれなかったら、玄弥も」。あの後、父は何を続けるつもりだったのだろう。


それにしてもどうして、6つになった日のことをすっかり忘れていたのだろう。思い出してみれば、記憶はこうも鮮やかなのに。
あの日、家にたどり着いた時には夜も遅くなっていた。家に近づくに連れて足取りが重くなる。これほど遅い時間まで、家をあけたことなんかない。
いつも優しい母がどんな反応をするのか、見当もつかなかった。暗闇のなかで父が、ちらりと俺を振り返るのが分かった。

家にほど近いところで、女たちの話し声が聞こえた。初めは誰の声なのか分からなかった。片方の女の声が、あまりに取り乱していて、もう片方の年配の女がなだめている。
「男の子だろ、きっと帰ってくるよ」
「急に家を飛び出したりなんて、しない子なんです…」
集まっている人々の声が聞こえてきた。気の毒だねえ。七歳までは神のうち、というからねぇ。という声が聞こえた時には、走り出していた。

女たちの輪の中心にいたのは、母だった。普段は貧しいなりにきちんと身なりを整える人だったのに、髪を振り乱し、顔は涙と土埃で汚れていた。
俺は母がこんなに見る影もない姿は初めて見た。背中には玄弥をおぶっている。

「…。母ちゃん」
その背中に声をかけると、母は稲妻のような速さで振り向いた。血走った目がみるみる間に見開かれ、声にならない叫びを漏らした。
そして、くず折れそうになりながら夢中でしがみついてきた。半ば支えるように、俺は母の全身を抱きとめた。
「良かった。良かった…。もう会えないかと思った」
その時の母の全身が震えていたこと。あたたかな涙が頬に落ちたこと。その時、心の底から母をいとおしいと思ったこと。
申し訳ない気持ちともごちゃまぜになって、俺は何を言うこともできなかった。
「ごめんね。誕生日だから家にいる約束だったのに。玄弥が熱を出して、お医者様に行っていたの」
はっと気づいて、母の背中の玄弥を見た。額に手をやると、燃えるように熱い。
ひどい熱なのに、俺のせいでこの寒空の下に出されて、どれほど辛かっただろう。
母も、玄弥の世話で手一杯なのに俺までいなくなって、どんなに大変だっただろう。玄弥は、俺が手を伸ばすと、きゅっと小さな手で指を握ってきた。
 「ごめん」
その日以来、俺は家を出たことはない。愛されていると、身に染みて理解したから。

少し落ち着くと、母はようやく、背後にいた父に気づいた。
「この子を連れて戻ってくれたんですか」
その言葉には驚きが込められていた。父の日ごろの言動を考えれば無理もないことだ。
「違うに決まってんだろ。勝手についてきただけだ」
まぁ、確かにそうだ。父は俺が外にいると分かってからも平気で何時間も博打に興じていたし。でも…。何度も、何度も途中の夜道で振り返っていた。

それに。
俺は手に持っていた青い風車を母に見せた。
屋台で見ていたら、黙って掌に押し付けられたのだ。見上げると父が金を払っているところだった。
あら、と母は驚いて父を見て…微笑った。いつも俺や玄弥に見せる顔と、それは少し違っていて。でもそれを、悔しいとは思わなかった。


***


十弥は、夜道を呆然としながら歩いていた。聞いて知っていた息子の屋敷のほうへ、勝手に足が向いていた。
そこに、探しているものはある。そう確信していた。

16年も前のことになるのか。あの時と似たような風が吹いているから、思い出してしまった。
あれは、家出した実弥を連れ帰ってから、1ヶ月も経っていないころの出来事だったと思う。
冬が迫る中、歳末の買い物に街に出たのだった。珍しく自分と、ひのとと実弥・玄弥の4人全員が揃っていた。
ひのとは、背中に赤ん坊だった玄弥を背負っていた。
一丁前に実弥は、ひのとを守るよう先に立って歩いていた。
一番後ろをダラダラと歩く俺に、ちらりと生意気な視線を向けてくる。

あの会話を交わしてからも、俺たちの関係は何も変わっていない。
実弥は俺をいつも睨んでいたし、気に入らなければ俺も実弥を殴っていた。
あの瞬間は、きっと日々の中で戯れに訪れた、最初で最後の時間だったんだ、と思う。

突然一陣の風が吹き、玄弥が寒かったのか泣き出した。顔を真っ赤にして、声を振り絞るような大声だ。
ひのとが振り返って声をかけるが、声が届かないのかぜんぜん泣きやまない。
すると、実弥はあの青い風車を取り出した。この寒いのに風車かよ。
それを玄弥の目の前に見せると、目が寄り目になり、じっと眺めていた。また風が吹き。風車がくるりと回る。
すると、ふっと顔をくしゃくしゃにして、笑った。それを見て、ひのとも実弥も、笑った。
うまく泣き止ませたのを褒めたのか、ひのとが実弥の頭を撫でた。ちらりと見えた横顔は、母の喜びに満ちていた。
実弥は嬉しそうに笑い返し、ひのとに身を摺り寄せた。離れたとき、二人は手を繋いでいた。
それは遠い、確かにこの目に映ったことのある出来事。


実弥。
どうして、母を殺した?


夜目に紛れて入り込んだ風邸の裏庭に、探していたものは見つかった。
何となく此処にあるだろう、と想像した通りだった。
綺麗に磨かれた墓石は、まだ新しい。色とりどりの花が供えられ、燃えて短くなった線香が供えられている。
墓石には、名前がそのまま刻まれていた。
―― 不死川ひのと。就也。弘。こと。貞子。すみ。
自分が死んだ後、名前を刻んでもらうつもりなのだろう。隣には不自然に空白があいていた。せめて死後は、家族のもとへ。


***


「今晩はここに泊まれ。せめて自分で歩けよ」
実弥が玄弥を支えながら、風邸の門を開けた、その瞬間。
獣の咆哮のような絶叫が、闇夜を劈いた。思わず二人ともびくりと肩を揺らして立ち止まった。
咄嗟に玄弥を庇って前に出たが、続く号泣に言葉を失った。

「―― この声」
言葉にならない言葉を叫び、慟哭している――
「……親父」
互いの心を訊ねるように、実弥と玄弥は顔を見合わせた。父の傍に行くことは、できなかった――


***


父、不死川十弥は、そのまま藤の里から姿を消した。
同時に風邸から消えたものがひとつだけあった。
それは、あまたの鬼の血を吸い、上弦の壱と無惨を倒した兄の日輪刀だった。
赫刀と化し、あまりにも殺傷力が高くなってしまったため、戦いの後は別の刀を打ち直したと聞いていた。
そしてその刀は、裏庭にほど近い自室に置かれていたらしい。

当然、大問題になった。
実弥は父の後を追いかけたが、その足取りをつかむことはできなかった。
ただ、お館様が深追いしなくて良い、と止め、処罰しなかったから、玄弥もほっとした。


酔いつぶれて風邸に泊まった後は、玄弥は藤の里に居るときは、兄の家に滞在するようになっていた。
今は、裏庭にある不死川家の墓を掃除していた。掃除するところがないくらい、いつも整えられているのだが。
初めて泊まった翌朝に、兄に墓の存在を教えられたのだ。
そして、訊ねられなかった家族のその後を、聞くことができた。
あの状態でよく、家族を葬ってくれたと兄に感謝した。一人ひとりの死亡を確認し、埋葬するのはどれほど辛い作業だっただろう。
そして、骨となった家族を掘り起こし墓におさめなおすことだって、想像するだけで胸が苦しくなる。その時一緒に仲間がいたのがせめてもの救いか。
どれほど辛くても、その感情は脇においておいて、やるべきことを出来るのが、いかにも兄らしい、と思った。
そして、何もできなかったことを改めて悔いた。自分には今、手を合わせることしかできない。

「兄貴、戻ったのか」
近づいてくる足音に振り返ると、実弥がこちらに歩いてくるところだった。
産屋敷邸に出向いていたはずだが、少し前に風邸に戻っていたのか、小春日和とはいえ着流し一枚の姿だ。
「いつまでも墓にはりついてるから、家の者が気にかけてるぜ」
家のほうに向かって顎をしゃくった。風邸には、家事雑用の者や、風の系列の隊員がいつも出入りしていて、広い屋敷のこともあり一体何人住んでいるのか全容がいまいち分からない。

墓の前で座っていた玄弥の隣にやってくると、ちらり、と地面に視線を落とした。
墓の前にはまだ、父ば残した爪あとがはっきりと残っていた。文字通り地面を掻き毟った後で、その翌朝には血痕が残っていた。
一体、どういう気持ちだったのだろう。玄弥にははっきりと、父の気持ちが分からずにいた。
改めて家族の死と向き合い、悲しみが湧いてきたとのかというと、違和感があった。
あの時に聞いた父の慟哭は、追い詰められた獣にも似て、苦しみと憤怒に満ちていた。あの声を思い出すと未だに玄弥は平静でいられない。
きっと、これだけでは終わらない。そんな気がした。
実弥は慣れた手つきで線香に火をともすと、手を合わせた。その後姿が、父と重なった気がした。

「どうするんだ? 日輪刀……」
一番行方を気にかけているのは、もちろん実弥自身だろう。
対鬼の刀とはいえ、当然人も殺傷できる。それに、共に幾多の死線をくぐりぬけてきた刀だから愛着もあるだろうに。
「一体どういうつもりなんだ、あの馬鹿野郎が」
返した実弥の言葉には、怒りと共に、それだけではない感情が読み取れた。……父を、気にかけているのか。
「どこ行ったんだろうな」
兄の刀で禄でもないことを仕出かさないといいが。でも何となく、そんなことはない気がした。
「……お館様が言ってた。きっと刀は戻ってくる、ただ、時間が必要だ。だそうだ」
「そうか」
その日が来るのを望むのか、望まないのか、もう玄弥には分からない。
実弥に並んで、墓に手を合わせる。

花筒のひとつに差された、青い風車が揺れていた。




風の青 完


update 2019/11/25