ふっ、と次に目を開けると、夕焼けの色が視界に飛び込んできた。
いつの間にか、外に出ている。ほんとうに夢に似た感じだ、とやちるは思う。
瀞霊廷の町並みを少し雑然とさせたような、商家のような家々が大通りの両側に続いている。
髷を結い、腰に刀を差した男たちが行き交う。女たちが笑いさざめく声が、家の中から聞こえてくる。
さっきまでの景色に比べればまだ、やちるにとっては親しみやすい雰囲気だ。
軒先からは、濃い白粉の香りではなく、夕飯の匂いが漂ってくる。
でもその匂いは、今のやちるには余計淋しく感じられた。

「あ……また、桜、だ」
見上げれば、またあの「隊首桜」にそっくりな桜が丘陵の頂上に見えた。
さっきまで花音の部屋の窓から見えていた姿に比べると、かなり場所が近い。
通りには、あの桜から舞い落ちたと思われる花びらが、あちこちに残っている。


この見知らぬ町のなかで、桜だけは見覚えがある。
無意識のうちにやちるは、ふらふらと桜が見える方へ向かって歩き出していた。
大通りから一本、細い裏通りへと入る。そこには荷車が止められ、開いた商家の入口から、大勢の人々が威勢よく荷物を運び出しては積み込んでいた。

「あ! あのヒト」
やちるは、その中でひときわ小柄で華奢な男を見つけて、声を上げる。
さっき花音の部屋にいた、あの誠之助だ。でも、格段に幼く見える。
さっきまで見た誠之助が20歳前後だとすると、今の彼は14歳くらいにしか見えなかった。
大人の男に混じって、大きな行李を荷車に積み込んでいる。
無理をしているのは一目瞭然で、額からは汗が噴き出している。

あんな様子では、すぐボロが出てしまう。やちるがはらはらして見ている前で、誠之助は入口の敷居につまずき、つんのめった。
「おい! 腰が入ってねぇぞ! 武士の癖に、ホント力はからっきしだな」
よろめいた誠之助を避けた男が、軽々と行李を持ち上げて笑う。やちるから見ても、嫌な感じがした。
「だから、こんな身分が低い商家なんぞに奉公に出されるんだ、なあ?」
別の男がそう言った。誠之助は二人を顧みず、歯を食いしばって荷物をまた、荷車に積み上げた。
その両手の豆がつぶれているのが、ちらりと見えた。

「おい、誠。この荷車を隣町の田村ンとこに持って行け。荷物、落とすなよ!」
「承知しました」
他の男たちが大勢いるのに、たった一人指名されても、誠之助は文句ひとつ言わなかった。
荷車に牛を二頭つなぎ、その先へ立って歩き出す。
「武士もああなったらおしまいだな!」
その背中に、容赦のない言葉が投げつけられた。


「イーだ! ばーか、ばーか!」
やちるは通りすぎざまに、見えるはずはないが男たちに向かって悪口を浴びせる。
やちるがいる十一番隊も、上下関係は厳しい。
力が全ての隊では、強い者は弱い者を支配できるし、弱い者は一切逆らえない。
でもこんな風に、大勢で弱い者をなぶるような風潮は全くなかった。
隊首桜も気になるが、それよりも誠之助も放っておけないような気がしていた。
ゆっくりと進む荷車の隣に立ち、やちるは至近距離から誠之助を見上げた。

「大丈夫か。重いよな。隣町には、あの丘を越えないと行けないんだ。がんばってくれよ」
誠之助は、鼻息荒く荷車を引っ張る二頭の牛に話しかけていた。
手は、牛と荷車をつなぐ綱を握っている。
それくらいで牛の負担が減るはずもないだろうが、本当なら自分も荷車に乗りたいくらい疲れていそうだった。

―― あの桜の方へ向かってる……? 
道は徐々に細くなり、荷車は坂道を上がってゆく。
途中でやちるが今まで来た道を見下ろすと、眼下には広々とした町並みが広がっていた。
瀞霊廷よりは狭いが、突っ切るのに歩いて何時間もかかるだろう。
町のところどころに明かりが灯り、町は少しずつ夕闇に沈みつつあった。
牛と、誠之助の息遣いだけが、坂道に響いている以外は、辺りはシンとしている。

隊首桜の真下まで来た時、誠之助は牛を止めた。
「きれいだなぁ」
嘆息して、満開の桜を見上げる。異様に太い幹も、逞しい枝ぶりも、やちるが流魂街で見たのとまったく同じだった。
見上げれば、やちるが足をぶらぶらさせていた枝もあるのだ。
そこに更木や日番谷がいないことが、不思議に思えるくらいだった。
「およ?」
やちるが前に座っていた枝に、小さな足の裏が見える。誰か、先客がいるのか。

誠之助はそれには気づかず、牛の綱を解いてやると力尽きたように根元に座り込んだ。
そして、草を食む牛を半ば放心して見つめながら、懐から一本の笛を取り出した。
やがて流れ出した旋律に、やちるは耳を傾ける。それは、遊郭で聞いた旋律とまったく同じだった。

ふ、と笛の旋律に、少女の声が乗った。ぎょっとして、誠之助が笛から口を離す。
「続けて」
少女の鋭い声が、樹上から聞こえる。
「誰だ?」
誠之助は頭上を見上げたが、辺りが薄暗いせいもあって、その姿を見つけることはできなかったらしい。
「いいから、続けて」
再び有無を言わさない様子で、少女が返す。
誠之助はしばらく黙っていたが、やがて曲の続きを吹きはじめた。

笛の音と、少女の歌声が絡み合い、夕焼けの空に溶けてゆく。
やちるにはなじみがないような繊細なメロディーだが、淋しいほどに綺麗だと思った。
少なくとも、今のやちるの心情にはぴったり一致していた。
美しい桜や風景に心奪われてはいるが、心の中では更木に会いたいと思っている。

やがて笛が途切れ、少女の歌声も止まった。誠之助は、あらためて頭上を見上げる。
「もういいだろう。女子が木登りとは、はしたないぞ。降りてきなさい」
「どうしていけないの? こんなに気持ちいいのに」
ごつごつした幹に足をひっかけながら、身軽に降りて来たのは、誠之助より少し年下に見える少女だった。
脛のあたりがまくれて露わになり、誠之助は視線をそらす。
ひょい、と地上に飛び降りた少女に何か言いかけて、驚いたように目を見開いた。
「あたしの顔になにかついてる?」
「どんな女子かと思えば、姫様のような顔立ちをしているな」
「やだ。あたしはただの商家の娘よ」
「どこの者だ? 送って行こう」
「三田屋よ。あたしは、花夜っていうの」
「三田屋か。大店だな」
独り言のように誠之助はつぶやいた。

花夜、という名前に、やちるは驚いて少女の顔をまじまじと見た。
先ほど見た花音とは、白粉のせいか面影を見つけるのが難しいほど似ていなかった。
ただ、その濡れ羽色の髪と、大きな目は同じだった。
頬は生き生きと色づき、表情がくるくると変わる。
似ていない、と思ったのは、その雰囲気が全く異なるからに違いない。
目の前の花夜、と名乗った少女は、いかにも元気がいい、お転婆な少女に見えた。

「あなたは? なんって名前?」
「志田誠之助だ」
「名字があるんだ。ていうことは、お武家様?」
「家族で食うのにも困っている、典型的な没落士族のひとつさ。武士なのに商家に奉公に出されるほどの」
誠之助は、自嘲気味にそう言った。花夜は小首をかしげる。
「嫌なの? 嫌なら、家に帰ればいいじゃない」
「それができぬから奉公しているのだ。私の仕送りがなければ、弟妹は生きていけない」
「……そう。それにしても今のあなたの笛、とってもよかったわ」
「男なのに笛など、おかしく思ったろう」
花夜は、じっと誠之助を見上げた。そして不意に、人差し指の指先で誠之助の眉間を小突いた。
「な、何をする!」
狼狽した誠之助をよそに、花夜は自分の両方の人差し指をまゆ毛のところに当てた。
「こーんな吊りあがった眉毛して、『武士なのに』とか、『男なのに』とか。変なの」
「へ、変とは何だ。無礼だぞ」
「笛が好きだから吹いてるんでしょ。家族が好きだから奉公してるんでしょ。
自分が選んだことじゃない。なのにどうしてそんなに辛そうなの?」
誠之助は、虚をつかれたような顔をした。
「……武士には、ふさわしくない生き方だから、かな」
「わかんないな。武士の生き方って何よ」
「血筋でも、誇りでも、何かひとつ自分が決めたものを、護る。そういう生き方だ。私はまだ何も護れていない。強くなりたいのだ」
「大変なのね……」
しみじみと花夜が言い、その響きに誠之助の頬がほころんだ。
「お主は、歌いたいから歌い、木登りをしたいから登るというか。お主は、自由が好きか?」
「うん」
花夜は素直に頷くと、着物の背中に乾いた泥がつくのもかまわず、ごろんと地面に横たわった。
東の空には、細い三日月が出ている。
「……そうか」
誠之助はその隣に腰をおろし、同じように夜空を見上げた。
「広いな、空が。丸く見える」
「そうね」
どちらとも言わず、笑いあう。



***


二人の隣に、同じように横たわり、夜空を見ているうちに、たわいなく眠ってしまったらしい。
やちるが目を覚ますと、日はもう高く上がり、誠之助と花夜の姿はもうどこにもなかった。
「まだ、戻ってないの……?」
これが夢なら、眠って起きたら醒めそうなものなのに、眼下に広がる景色はいつものままだ。
ただ、今のやちるは、もう少し二人を見て居たいような気もしている。
ここで前の世界に戻されたら、読みかけの本を捨てられてしまったように惜しくなるに違いない。

瀞霊廷の隊首桜で見た、涙する女性の影。あれは、花夜なんだろうか。
彼女がやちるを、この世界に連れて来たのだと言うのなら、一体なにをやちるに見せようとしているのか。
わからないが、自分がここにいるのには、何か意味があるのだろう。あの二人の行く末を、見届けたいと思った。
あの商家に戻れば、誠之助に会えそうだ。やちるは昨日登って来た道筋を、逆に下って行った。

「なんだろ。なんか町が違ってる……」
歩きながら、やちるはひとりごちた。
昨日逆に歩いた時は、あたりはうす暗かったし、誠之助のほうに気を取られていたから、あまり周りを見ていなかった。
それにしても、通りの様子は同じなのに、細かなところ……家々の植木とか、塀とか、そう言ったものが違うような気がした。
誠之助が苛められていた商家の入口は、大きく開いていた。
「せいちゃん?」
相手に聞こえるはずはないが、入口からひょいと店の中を覗き込む。
誰にも見えないのだ、と不意に思い出して堂々と店に入ってみた。

何人かの声が聞こえる。その中のひとつが誠之助に聞こえて、やちるはとある一室を覗きこんだ。
机の上には帳面が広げられ、畳の上や本棚の上にもたくさんの書類が積み上げられている。
誠之助は、そこで髷を結った初老の男となにやら話していた。
「あれ?」
その顔を見るなり、やちるは首をかしげる。
昨晩に見た誠之助は、14歳くらいに見えたが、明らかに身長は伸びているし、顔つきも大人びている。
17歳くらいだろうか……一番初めに遊郭で見た彼の顔に近くなっていた。

「ふむ。金額はぴったり合っているな。お前が帳簿を見るようになってから、一度も数字間違いがない。助かっているぞ」
帳面をめくっていた初老の男が、誠之助を見やる。
「ありがとうございます。これが勤めですから」
「謙虚なのは、お前のよいところだ」
驚いた、と見ていたやちるは思った。昨晩見た誠之助は店の者からいびられていたが、
成長した誠之助は、高い評価を受けているらしい。それにしても、初老の男を見返す誠之助の表情は暗かった。
「何か、気に病んでいることでもあるのか? 顔色が悪いぞ」
「……三田屋のことです」
初老の男は、誠之助の言葉に、ふむ、と唸った。
「先月強盗に押し入られた店だな。主人と内儀をはじめ、番頭から奉公人まで殺されたそうじゃないか。
一人娘が残されて、ああなると気の毒なものだ。先月までは町でも一・二を争う大店だったのに」
「……これから三田屋は、どうなるのでしょうか」
「……再び店を開くには、とんでもない額の金がいるな」
「娘さんの花夜さんがいるじゃないですか。婿を取って立て直しなどできないのですか?」
「なんだ、お前、花夜殿を知っているのか」
「え? あ、顔見知り、という程度ですが」
「隠すな。この近辺一の小町娘だ、若い男が惚れない方がおかしいさ」
「い、いえ、そのようなことは……」
「だが、あの娘はやめておけ」
一瞬茶化しかけた男は、すぐに眉間に皺を寄せて誠之助を見やった。
「あの娘は、美しすぎた。ずっと、人買いに目をつけられていたんだ。
今回の押し入り強盗さえ、裏には遊郭がいるとの噂もある。……あの娘の器量なら、花魁になれるからな」
「……え」
「先月からずっと、人買いが出入りしてる。もう時間の問題だな。
娘を売った金で店を守るか、残された者で心中するか、二つに一つだ」
バン、と机を手のひらで打ち、誠之助が立ち上がる。
そして立ちすくむやちるの前を、足元も荒く立ち去った。
「おい、誠之助! おい誰か、後を追ってくれ!」
初老の男が慌てて叫ぶのを背後に聞きながら、やちるも誠之助の後を追った。


奇妙な感覚だった。やちるは、この話の展開をすでに知っている。
一番はじめに、遊郭で花魁となっている花夜と、そこに通う成人した誠之助を見ているのだから。
まるですごろくの「上がり」がどこか知りながら、そこにコマが進んでいるのを見守っているようだった。
―― でもまだ、おしまいじゃないの……?
やちるの意識は、どうしてもあの隊首桜で見た、影しかない女性に吸い寄せられる。
遊女とその客となった更に先に、どんな結末があったというのだろう。

決して体力があるタイプではないだろうに、息を荒げて必死に走る誠之助に、切ない想いにかられる。
本当に、この男は花夜のことが好きなのだ。その後ろ姿を見ていて、不意に分かったからだ。


三田屋は、誠之助の店から走って20分ほどのところにあった。
異変があったのは、一目で分かった。店の前に、大勢の人だかりができていたからだ。
「どいて! どいてください」
わずかな隙間に身体を滑り込ませるようにして、誠之助は店へと進んだ。
迷惑そうな野次馬たちに目もくれず、店の入り口の前まで辿りつく。そこで、ぴたりと足を止めた。

「ほら、見世物じゃねぇぞ! この女に用があるなら、遊郭に来るんだな。もちろん、金を払えよ」
おそらく人買いだろう、恰幅のいい二人の男が、花夜の肩と腕をつかんでいた。
花夜は、昨晩の姿と比べて、見違えるように大人びていた。そして、すらりとした立ち姿は輝くばかりに美しかった。
「あんなところに閉じ込められるのは、絶対に嫌! 離してよ」
「往生際が悪いぜ、もう店の者と話はついてるんだ」
三田屋は、店の存続のために、主人の娘を売ったというのか。
誠之助の両腕が、激情のためか、ぶるぶると震えている。

行って、とやちるは心の中で叫ぶ。結末がどうなるか分かっていても、思わずにはいられなかった。
「待て! そんな道理が通ると思っているのか!」
やちるの心の声に押されたかのように、誠之助が一歩前に出た。
その声は緊張と激情のあまりわずかに震えていたが、その場によく通った。
「誠之助さん!」
その姿を目にとめた花夜の目に、いっぱいに涙がたまった。強がっていても、心の中は不安で仕方なかったに違いない。
「なんだぁ? 若造。お前は無関係だろうが! 道理の問題じゃねぇ、金の問題なんだよ。
まあ、俺らが店に支払ったのと同額をお前が出せるなら考えるがな」
ぐ、と誠之助が答えに詰まった。
商家のいち奉公人がどうにかなる額ではないのは、火を見るよりも明らかだった。
人買いは、じろじろと誠之助を見やり、そして馬鹿にしたように笑った。
「その様子じゃ、金はあるわけねぇな。あきらめな」
「待て……」
誠之助がさらに前に出ようとした時、後ろから息せききって現れた男が、誠之助の肩を荒っぽくつかんだ。
「やめろ! 誠之助。関わるな。騒ぎになってみろ、店に迷惑がかかるだろ!」
「治助さん。でも……」
話の流れから、あの初老の男が寄こした、店の別の奉公人だろうことは想像がついた。
誠之助は、血走った目で、治助と呼んだ男と花夜を順番に見た。
「でもじゃない。お前の親にも恥を掻かせることになるんだぞ。それでもいいのか、お前は『武士』だろうが!」
最後の言葉に、ぴくり、と誠之助は身を強張らせた。
「ほぅ、お前、武士崩れか。腐っても武士だ、遊女になる女一人のために醜聞を撒き散らすのは望まねぇだろ。
今なら面倒事にはしねぇで置いてやる。立ち去れ、若造」

「ねぇ……」
やちるは思わず、誠之助に話しかけた。
「ねぇまさか、そんな理由で諦めたり、しないよね……?」
誠之助は花夜を見ていた。その苦渋にゆがんだ顔が、涙を浮かべた花夜から逸らされ、ゆっくりと俯く。
そんな誠之助を、花夜は信じられぬように目を見開いて見返した。そして、拳をぎゅっと握りしめる。

「離して!」
急に凛とした声が周囲に響き、やちるは一瞬それが、花夜の声だとは気づかなかった。
その言葉の迫力に、思わず人買い二人が花夜を捕えていた手を離す。
「……。一人で歩けるわ」
店先につけられていた籠に向かって歩き出す。籠に乗ってしまえば、行き先は遊郭しかない。
水が引くように下がった野次馬たちに目もくれず、花夜は前を向いていた。
誠之助の前を通る時も、花夜は視線を彼に向けることはなかった。


「……まあ、あの子には悪いけどよ。遊郭にいるってのは、男にとっちゃ嬉しいよな」
「だよな。誰かの嫁になっちまえば、抱ける男は一人だけだ」
花夜を乗せた籠が去ると、野次馬たちはてんで勝手なことを言いながら、あっさりと引いて行った。
誠之助は、その場に縫いつけられたように突っ立っている。
「なんで!」
聞こえないことは分かっている。やちるは、誠之助の正面に立った。
「何かひとつ、自分が決めたものを護るんじゃないの! それが武士だって言ったのに、こんなのないよ!」
親を失い、店のために身売りされて、最後に助けを求めた誠之助にまで見捨てられるなんてひどすぎる。
全てを失った花夜が強く振舞ったのが、余計に見ていて辛かった。

やちるは、誠之助の袖に手を伸ばす。その手は掴むことなくすり抜けたが、気にしなかった。
「ねぇ!」
大声で叫んだとき。一瞬、誠之助がやちるを見た気がした――