それから、4時間後。太陽がすでに高く上った頃、4人は車上の人となっていた。
乱菊が起きるのに1時間。風呂に入るのに更に1時間。化粧に何と2時間。たかが病院行くくらいでなんでそうなるんだ、という男3人の非難にも、
「女だからよ」
と全く動じる気配がなかった。

後部座席で足を投げ出した一角が、顔の前で手を振る。
「お前、香水強すぎじゃねぇのか? 病院行くのにそりゃねぇだろ。爺さん婆さんが気分悪くなったらどうすんだ」
「これくらいの香りのほうが、目が覚めていいのよ」
本当かよ、と聞き返す気にもならなかったか、一角が無言で車の窓を開けた。
まるで数年来の友人のような口の利き方をする二人に呆れながら、冬獅郎も一角をならって助手席の窓を開け放した。
途端に、うららかな春の風が吹き込んできて、思わず目を細めた。桜が少しずつ散り始め新緑が顔をのぞかせている。春爛漫の景色が、車窓を流れてゆく。

片手で軽々とハンドルを握っているのは、その辺の男にとっては垂涎ものの格好をした乱菊だった。
深くスリットが入ったタイトスカートに襟がついた白シャツ姿で、布地を通して黒いブラジャーがくっきりと透けて見える、
助手席には冬獅郎、後部座席には一角と弓親が乗り込んでいる。
乱菊が、ハンドルを切りながら後ろの二人の声をかける。
「それにしても、本当にあんた達、病院まで来るの? まあいいけど、暇人ねぇ」
「よく世話になってる病院なんだよ。ついでに菓子も持って行く。安いし、腕も確かだぜ」
「あ! 次の信号右だよ」
「分かったわよ」
弓親の言葉に、乱菊が右のウィンカーを出した。

冬獅郎はそっと右足に力を入れてみたが、すぐに顔をしかめて動きを止めた。
動かせるから骨に異常はないだろうが、足を引きずらないと歩けない。自業自得だ、と言えば確かにその通りなのだが。
―― なんで昨日、あんな奴の挑発を受けたんだ……
改めて考えると、自分の行動はおかしかった。途中までは帰って寝たいとしか思っていなかったのに、
一角から殴りかかられた途端、好戦的な自分が顔を出していたのだ。気づけば、やりあっていた。まあ、酔っ払ってたからか、とすぐにため息をつく。
「何とかマトモに歩けるようにならなきゃね。明日学校でしょ?」
「休む」
「ちょっと。あたしはあんたをそんなに軟弱に育てたつもりはないわよ?」
「育てられた覚えもねぇよ」
と、冬獅郎はむくれた。足を引き摺って学校へ行って同情されるくらいなら、行かないほうが全然マシだ。

二人の応酬に、弓親が後部座席から顔を覗かせた。
「ちょっと。昨日から気になってたんだけど、冬獅郎君は学生だよね?」
「中学二年だ。どうかしたか」
「で、乱菊さんは」
「女に年なんで聞くもんじゃないわよ」
「って言わざるを得ないような年ってことだよね」
「何ですって!」
「俺の倍だ」
「……冬獅郎、あとで覚えてろよ」
遣り合っている二人を見て、弓親はふぅん、と鼻を鳴らす。
「……で、恋人同士か。おもしろいね」
「ふん。ただの同居人だ」
見つめられた冬獅郎が首を引き、車窓に視線を戻す。その首に、運転席から大きく身を乗り出した乱菊が両腕で抱きついた。
「付き合って2年目、最高にラブラブだけど? 年なんて全っ然関係ないわよ!」
当然、コントロールを失った車はぐらりと揺れる。対向車線から走ってきた中年の男の、ぎょっとした顔が見えた。
「おおおお前! 運転くらいちゃんとしろ!」
慌てた一角が後部座席から飛び出してくる。冬獅郎はすかさず助手席から腕をぬっと伸ばし、ハンドルを掴んだ。
力強くハンドルを切ると、車は安定を取り戻す。

「……君、運転できるでしょ」
弓親が冬獅郎を見て、驚き半分、呆れ半分の声を出す。
「ほんっとーにテキトーな奴だな、お前。ホラ、ハンドル握れ」
「はーい♪」
冬獅郎にハンドルを渡された乱菊が、運転席に戻る。

「コイツといると毎日が大変だな、無駄に」
無駄に大変。的を得た言葉と同情的な視線を寄越した一角に、冬獅郎は何気なく返す。
「まぁ、退屈はしねぇよ」
「変な二人だね。水と油みたいなのに、ちゃんとフォローしあってるし。何か長年つきあってる夫婦みたいだ」
「誰が夫婦だ」
「ま、近いうちにね♪」
冬獅郎は無言で肩をすくめると、車窓に視線を戻す。何今の態度? という乱菊の声が聞こえるが、無視した。
水と油が夫婦になったらまずいだろ、と思うが、弓親の言葉も、それはそれで的を得ているようだ。
気は合わないし、性格も全く違うのに、しっくりと組み合わさるのはなぜだろう、とふと考える。


視界の先には、公営の広々としたグラウンドが見える。そこで走り回っている子供たちが目につくのは、ケガ人のヒガミか。
「よっしゃあ!」
威勢のいい女の声が響き渡り、何となくその方向を見やる。豪快なシュートが、サッカーゴールを揺らしたところだった。
「くー、やるなぁ、夏梨! さすが女子サッカーのキャプテンだ」
「男子こそ、しっかりしろ! これじゃ相手になんない」
女にしてはハスキーな声が、小気味よいほどポンポンと放たれる。声の方向に視線を凝らしても、外見ははっきり見えない。
しかし1人長い黒髪がいるから、あれがカリンとか呼ばれた女だろう。

ん?
冬獅郎は誰かの視線を感じ、歩道へと目をやった。角を曲がって歩いてきたのは、鮮やかな赤髪をツンツンと立てた大柄な男と、対照的に小柄な黒髪の女の二人連れだった。
こちらを見て、なにやら言っているようだが、こちらは顔など知らない。
「……」
車が走りすぎざまに、冬獅郎と黒髪の女の目が合った。地味だと思っていたその女の、黒曜石のように輝く大きな黒い瞳に一瞬、ドキリとする。
二人は自然と目を逸らし、互いに風景の中に溶けていった。


***


陽光に光る、銀色の髪。深い蒼碧の瞳。
間違いない……
空色の車の窓から顔を覗かせている少年を見つけたルキアは、思わず隣にいる恋次の袖を引っ張った。
「あれは、昨日……あの、会った女の人と一緒に住んでいたという少年ではないか? 噂と外見が一緒だ」
「ん? あぁ、そうなのか?」
隣に立つ恋次は、妙に口ごもって返事をした。女との出会いを考えれば、無理もない。
 
―― 本当に、従姉弟なのか?
共通点は、外国人っぽい、というところにしかないように思えた。なぜか、ふてくされたような目で歩道の向うのグラウンドに視線を走らせている。
窓に頬杖をついている仕草が物憂げで、ドキリとするほど大人っぽくも見える、不思議な少年だと思った。
 
ルキアの視線に気づいたのか、少年の目がこちらに向けられた。車が走りすぎる瞬間、二人の目が至近距離で合った。
おそろしく澄んだ色の瞳に、見とれる。南国の海底のように、幾重にも幾重にも重ねたほどに深く、空に舞い上がりそうに軽やかな、青。
「……ルキア? どうした」
恋次に呼びかけられ、我に返った。空色の車はとっくに行き過ぎていた。
「なんでもない、行こう」
自分より年下の少年に見とれるなんて、らしくもない。ルキアは苦笑いし、先へと歩みを進めた。


ルキアにとっては通いなれた、図書館への道のり。しかし一緒に恋次がいるのは、まるで合成写真のようにそぐわない。
いつもなら前を歩く恋次が珍しく後ろにいるのも、本人が気後れしてる証拠だと思う。歩きながらそっと振り返ると、恋次はグラウンドを眺めていた。
サッカーのほうがよっぽど性にあっている、と思っているところかもしれない。
久しぶりに向き合った二人が勉強に身を入れるどころか、話し込んでしまったのはよくある話で。
仕切りなおしということで、土曜の今日は図書館で勉強することになっていた。

タン、タン。

軽い音に顔を上げると、グラウンドからサッカーが転がり出て、階段をバウンドしながら落ちていくところだった。
「あたしが行く!」
元気がいい少女の声と共に、駆けてくる軽い足音が聞こえた。恋次は大股で階段の下に歩み寄ると、斜度に飛び出そうとしていたボールを足で軽く受け止めた。
そのままボールを跳ね上げて手で掴んだ時、恋次とルキアの上に影が差した。

「すいませーん!」
息を弾ませ、かけてきた少女の姿を、恋次はまぶしげに見やった。
「危ねぇだろ、気ぃつけろよ!」
叱りかけた恋次の口が、お、という風に開かれたまま止まる。綺麗な子だな、とルキアも思った。高校生じゃない、まだ中学生くらいか。少なくとも、年下のようだ。
背中の中ほどまである長い黒髪を後ろで束ね、灰色のトレーナーにジーンズというシンプルないでたちだった。
涼しげな、切れ長の瞳が二人に向けられた瞬間……大きく見開かれた。

「ルキアちゃんっ!?」
階段の手すりから身を乗り出し、少女は棒立ちになった。


「あんた、ルキアちゃんだろ? ……あたし、夏梨だよ! 一兄の妹の、黒崎夏梨!」
久しぶりだな、と弾んだ声で続けられて、ルキアは戸惑った。
「す……すまないが、人違いじゃないか?」
言いながらも、どういうことだ、と鼓動は高まる。ただの人違いじゃない、なぜなら夏梨と名乗った少女は正確に、ルキアの名を呼んだ。
ルキアの言葉に、夏梨の表情はみるみる間に怪訝なものに変わる。
「え? あんた、朽木ルキアちゃんだろ? 五年間、うちに居候してたじゃないか」
「……え?」
「一兄のことも知らないのか? 黒崎一護、あたしの兄貴なんだけど」
矢継ぎ早に問いかけられ、ルキアは返事に詰まった。この少女のことも知らないし、黒崎一護など聞いたこともない名前だ。
「別人……なの? 背格好も髪型も、話し方も雰囲気も、全部そっくりなのに」
三人は三様に、その場に立ちすくんだ。

「……確かに、こいつの名前はルキアだ。でも、あんたが知ってる奴とは別人のはずだ。
5年前まではこいつと俺は、施設で一緒に暮らしてたし、この空座町に来たこともないんだ」
しばらく落ちた沈黙の後、口を開いたのは恋次だった。戸惑うルキアを庇うように、一歩前に出る。それを聞いた夏梨の肩が痙攣したように震えた。
「うそだ! あたしはずっと、あんた達を探してた……!」
悲鳴のような高い声をあげると、ひらり、と手すりを飛び越え、恋次たちに向って飛び降りようとした。
「オイ! 危ねぇぞ!」
恋次は思わず、大声を出していた。ちょうど夏梨が飛び降りようとした地点に、自転車が一台通りかかったからだ。
「うわっ、なんだ?」
自転車に乗っていた男子高校生が、慌ててブレーキを踏むが間に合わない。まさかいきなり進路上に人が降ってくるとは思わないだろう。


数秒後、自転車が急ブレーキをかけて止まった。地面に足を着き、乗っていた男子高校生は慌てた素振りで振り返る。
「大丈夫ッスかー、まさか空中で受け止めるなんて」
「お、おう」
ガードレールに背中を打ちつけた恋次の上に、夏梨が乗っていた。
とっさに夏梨の足をひっぱってこっちに引き寄せ、自転車に落下するのを食い止めたのは良かったが……そうすれば自分の上に落ちてくるだけだ、ということは失念していたらしい。
人ひとりを受け止めるにも、あまりにも無茶な体勢だった。

「お、おい! 大丈夫か!」
状況に気づいた夏梨が、慌てて声をあげる。
「おめーの膝が、俺のみぞおちに食い込んでなきゃな……肋骨が痛ぇよ」
ガードレールに打ちつけた背中より、マトモに決まったそっちのほうがよほど重傷そうだ。
「ご、ごめん……」
夏梨は赤くなり、慌てて恋次の上から降りた。
「オイ恋次、大丈夫か?」
ルキアが駆け寄る。
恋次。
その言葉に、夏梨が固まった。まじまじと、恋次の顔を見やる。

「まさか、俺のことも知ってるってのか?」
恋次の声に、夏梨は答えない。しばらく放心したように立ち尽くしていたが、やがて気を取り直したように泥を手で払う。
そして恋次と、そばにしゃがみこんだルキアを見下ろした。
「怪我させて悪かったな。ウチ、病院やってるんだ。寄ってかない?」


***


春の風にふわりとあおられる、下ろしたストレートの黒髪。一本一本が太くしっかりしているため、健康的な印象だった。
古着のような色合いのジーンズから伸びる足は、目を止めてしまうほどに長い。
切れ長の瞳は鋭利な印象があるが、これくらいなら「涼しげ」と言ってもいい。これくらいの年の女にしては深い、少し掠れた声が耳に残る少女だった。
まだ中学生くらいで勿論化粧ッ気はなく、天然素材という言葉が思い浮かぶ。
しかし、こういう男勝りのタイプが、成長すると見違えるほどに美しい大人の女になるのかもしれない。
そう予感させるものが、すでにこの少女には備わっていた。

「自己紹介、しなきゃな。あたしの名前は、黒崎夏梨。空座中の3年生。あんたらは?」
歩きながら、夏梨は二人を振り返った。
「阿散井恋次だ」
「朽木ルキア」
「そう……か」
二人の前に立ち先導しながら、夏梨は呟くように頷いた。
―― どういうことなんだ?
夏梨は、冷静を装いながらも動悸が高まるのを感じていた。

間違いないのに。あの少女が、自分の知る朽木ルキアだと同一人物でないと考えることのほうが難しいのに。
夏梨は、唇をかみ締める。外見だけなら他人の空似ということもあるだろうが、名前も一緒なら勘違いでは済まされない。
よく見ると、少し背が伸びたようにも見えるが、どこから見ても「朽木ルキア」だ。

だが、「人違いじゃないか」と返したルキアは戸惑っているようだったが、嘘をついているようには見えなかった。大体、嘘をつく理由がどこにあるだろう。
恋次、という男の名も、兄の一護から何度も何度も聞いた頃があった。遠目でしか見たことはないが、この逆立った赤い髪は記憶と寸分違いがない。


―― とにかく、一兄だ。兄貴に会わせれば、はっきりするだろ。
夏梨は考えを切り替える。
医大に進んでいる兄は、最近勉強がきついのか、帰ってくる時間が遅い。酒の匂いをほのかにさせて帰宅することも増えた。今日は早く帰ってきてくれよ、と願う。
今後ろを歩いているのが「あの」二人だとして、夏梨にはどうしても、聞きたいことがあった。
「な、なぁ」
ふっと背後を振り返る。
「日番谷冬獅郎って、知ってるか?」
それは夏梨がこの5年間、心に秘めてきた大切な名前だった。
「ひつが……いや、知らないな」
ルキアと恋次が首を振る。
「そ、か」
この温かいのに、冷たい風が吹き込んできた気がして、夏梨はわずかに俯いた。


時間を稼ぐため、なるべくゆっくりとクロサキ医院に向かい……ドアを開けた時、時刻は午後2時を回ったところだった。
「ただいまー!」
黒崎家は「クロサキ医院」と、家族の居住空間がつながっている、こじんまりとした町医者である。病院の入口をくぐり、夏梨は大声を出した。
どこにでもあるような、病院の待合室である。日当たりのいい白壁の一室に、黒いベンチのような椅子が並べられ、本棚には雑誌が詰め込まれていた。
天井に取り付けられたテレビは、午後のワイドショーを映し出している。
何人かの老人と家族連れが、夏梨を見て振り返る。夏梨ちゃんおかえりー、と馴染んだ声がかかった。

「おぅ、夏梨か。おかえり」
カーテンに仕切られた診察室から、父親の一心の声が聞こえた。
「お前のお得意さんの、斑目君と綾瀬川君が来てるぞ! お土産持ってな。こっち混み合ってるから、リビングに案内してる」
「お客さんをリビングにほったらかしてんのかよ……」
「しょうがないだろ、遊子もでかけてるし、一護も大学だし誰もいなかったんだから。一人怪我人がいるがもう治療は終わってる。ご挨拶しろよ」
「はーい」
父親の声を聞き流し、夏梨は慣れた足取りで診察室に入っていくと、救急箱を持ってすぐに出てきた。
「先客がいて申し訳ねぇけど、最近手狭なんだ。あんた達もリビングに来てくれ。診察までに、茶でも出すよ」
「あ、あぁ……すまねぇな」
恋次とルキアは顔を見合わせ、病院の中に足を踏み入れた。


病院の待合室の奥にある、「Private」と札の掛けられた扉の向こうが、家につながっていた。
「二人とも、先入ってて!」
夏梨の声に、ルキアと恋次は先にドアを開け、リビングに足を踏み入れる。そこには、確かに先客がいた。
「あー!!」
その場を、大声が満たした。

がたん、と音を立てて弓親が立ちあがった。
「あ! 君は、駅で僕のすばらしい髪形を侮辱したウニ頭じゃないか!」
「オカッパじゃねーか! それにアンタは……」
「ハァイ♪ 近くで見てもいい体してるわね」
「そ、そちらさんも」
墓穴を掘った恋次が真っ赤になった。ルキアは、自分を訝しげに見つめる冬獅郎の視線に気づき、軽く頭を下げる。
初対面というには、あまりにさっき互いを凝視しすぎていた。
「偶然にしちゃ、妙だな」
不審げな冬獅郎の言葉が、その場全員の気持ちを代弁していた。冬獅郎と乱菊。恋次とルキア。一角と弓親。
昨日まで、この三組の間にはなんの接点もなかった。それなのに、わずか二日の間に何度も出会う可能性は、一体どれくらいあるだろうか?


「なんだよ? やけに賑やかだけど……」
ぎい、と音と共にドアが開き、夏梨が入ってきた。
そして。
その手から、救急箱が滑り落ちた。

「っとぉ!」
ドアから一番近いところに立っていた恋次が慌てて手を伸ばし、救急箱を空中で受け止める。
「危なっかしい奴だな、お前は……」
見上げた恋次の頬に、ポタリ、と水滴が落ちた。
「お、お前。今度はどーした……?」
棒立ちになっている夏梨の頬に、涙が伝っていた。

「とうし、ろう」
「えっ?」
冬獅郎が、顔を上げて夏梨を見上げた。

身長は、最後に会った時よりもとんでもなく伸びて、夏梨よりもずっと高い。顔立ちも、大人びている。
それでも、この5年胸を絞られるような思いで望んだ少年を、見間違えたりしない。
「冬獅郎っ!」
夏梨は叫ぶなり、ソファに腰を下ろした冬獅郎に駆け寄った。



last update:2012年 8月2日